摘要
白未熟粒の多発生は,整粒歩合を低下させ検査等級を下げるため,抑制する必要がある。白未熟粒,その中でも乳白粒と基部未熟粒の発生率に品種間差異があった。白未熟粒は,止葉切除による光合成の減少,増肥とそれによるm2当たり籾数の増加,疎植および育苗時の高温で生じる早期異常出穂による穂揃い不良,および刈り取り時期の遅延により増加した。倒伏により青未熟粒?白未熟粒は多くなった。初期生育が良好な場合,分げつ期からの深水灌漑は過剰分げつ発生を抑制し,粒重と玄米収量を増加させ,玄米品質も向上させた。登熟期の土壌の過乾燥により,腹白粒発生による品質低下や千粒重減少による減収を生じた。これら白未熟粒の発生は,出穂期から出穂揃い期10日後までの茎葉から籾への非構造性炭水化物(NSC)の1籾当たり転流量および粗玄米収量から同転流量を減じた1籾当たりNSC増加量が多いほど,少なかった。白未熟粒の多発生回避には,施肥量,栽植密度,育苗ハウスの温度管理,移植時期,登熟期の土壌水分および刈り取り時期を適正化し,初期生育を促進し,過剰分げつを深水で抑制する必要があった。以上の栽培法改善と,1990年代後半以降からの共同乾燥調製貯蔵施設での色彩選別機を使った1等米調製により,北海道の1等米比率は全国平均を上回るようになった。